国立公園大山周辺には様々な道があります。地図を広げると、山麓をぐるっと一周する道、放射線状に下る道、谷奥へ続く一本道、農地を縁取る畦道、登山道、湿地を巡る木道など、用途や状況にあわせた“道”が縦横無尽に設置されていることに気がつきます。まるでそれぞれが座標軸のよう。
さらに、詳しく大山と周辺部を俯瞰してみると、その中で一際存在感のある道が浮かびあがってきました。それは国立公園大山を南東から北西に縦断する絶景ルートで、30年以上前に有料道路として設置され、現在は県道の通称・旧蒜山大山スカイライン、旧大山環状道路、旧大山観光道路、そしてそれらをつなぐ道です。
かつては、大山を代表する景観ルートとして認知されていましたが、近年は紅葉時期を除いて話題にされることが減り、その存在もわかりにくく、地元観光関係者さえも案内できない状況になっています。これでは多くの方に大山の、景観の素晴らしさ、そしてなにより、自然の素晴らしさを伝えることが不十分になっているのではなかろうか・・・。
そんな中、出てきたアイデアが「大山パークウェイ構想」。米子、境港、美保関までをエリアに入れて構想したものです。概要は次の通り。
◎高速道(米子道)が開通して便利になり、山陰中央地域の交流人口は増えることになりましたが、旧来の絶景ドライブコースである、旧蒜山大山スカイライン〜旧大山環状道路〜旧大山観光道路、さらには国道431(通称産業道路)〜美保関道路は高速道路の影に隠れてしまった感があります。
このルートが国立公園を縦断し、蒜山から大山、米子、さらには境港を経由し美保関に至る、優れた景観を有する連続した一本の道だということは、地元では認知されていますが、道路の名はバラバラ、しかも「旧」という字が頭に付いたり、「産業道路」といった時代に相応しくない名前で呼ばれていたりで、せっかくの絶景コースが存在感のないものに。まして遠来の観光客の方々には尚更でしょう。
◎ここにわかり易くて誰もが一瞬でイメージができる名称を与えることができたら。点である観光スポットを繋いで線にし、そして面的な広がりができれば圏域の魅力を再構築していけるのではないか。また観光振興という視点だけでなく、沿線の多くの団体と協働でまちづくりに取り組めば、地域全体の元気再生に繋げていくことができるのではないか。ということで、このコースに「大山パークウェイ(部分では大山蒜山パークウェイ、美保湾パークウェイ)」の名称を与え、この道を座標軸とした地域の連携と活性化の途を探ることを構想しました。
「パークウェイ」とは、国立公園(National Park)などに設置された風景の素晴らしい道のことで、北米では代表的な道に愛称を付けて観光客の案内、街づくりの中心軸としています。
本構想では大山パークウェイを地域の活性化の中心軸に置き、多彩な風景を満喫してもらいながら人々を広域的に誘導します。同時に、ゆったりスローなドライブスタイル、観光スタイルを提案し、自然との共生を意識していただけるようなメッセージを届けます。また、観光振興という視点だけでなく、沿線のまちづくりをすすめるコミュニティーと協働で地域が元気になるようなパークカントリー(シティ)を目指します。
大山王国(NPO法人大山中海観光推進機構) 石村隆男
大山パークウェイのマスコットは大山固有のカタツムリ「ダイセンニシキマイマイ」
をモチーフにしています。
カタツムリは1986年にイタリアで始まったスローフード運動のシンボルとして、またスローライフの象徴として知られていますが、当エリアでも同様にスローライフ、そしてパークウェイではスロードライブを楽しんでいただきたく、その思いをカタツムリに託しました。
また、デザイン的にはカタツムリ全体で大山パークウェイをかたどっており、
尾が「蒜山・奥大山エリア」、
殻が「大山・琴浦エリア および 伯耆・南部エリア」、
胴が「米子・皆生温泉エリア」、
目・頭が「境港・美保関エリア」を意味しています。