奥大山

全国初「移動ローソン」発進

移動購買車「ひまわり号」

【4/9掲載日本海新聞】

国内最大級の移動店舗車で過疎高齢地域の食守る

移動店舗車に詰め掛ける住民ら=27日、江府町貝田

 日野町と江府町で食料品店を経営している会社が、過疎高齢化が進む地域の中で、交通手段が乏しい高齢者へのサービス向上を狙ってトラックを改造した移動店舗車「ひまわり号」を導入した。国内でも最大規模の移動店舗車という。江府町貝田で二十七日に行われた初売りでは、地区住民が大勢集まり、ショッピングを楽しんだ。

 同車両を導入したのは、安達商事「あいきょう」=事務所・伯耆町溝口=の安達享司社長(53)。日野町根雨に本店を構えるほかに、同町内と江府町内で合計五店舗を経営している。これまでも、軽トラックや一・五トントラック、マイクロバスを改造した移動購買車計三台を運用していたが、より地域密着型の経営を強化しようと新車両導入を決めた。

 移動店舗車は、三トントラックの荷台部分を改造して店舗としたもの。車両の幅は約二メートルだが、店舗利用時は、荷台部分が横に約一・一メートルせり出す機能を持ち、売り場面積を十三・二平方メートル確保する構造。このため、大型の冷蔵庫や冷凍庫も導入できて鮮度をより保つことができ、品ぞろえもマイクロバス型の一・五倍となった。

 安達社長は、二〇〇〇年の鳥取県西部地震で本店を被災し、店を継続するか悩んでいた。しかし、地元の高齢者が店舗を頼って生活のよりどころとしている現状を見て、店舗経営継続を決意した。「地域から商店を無くしてはならない」と、一昨年はJAの再編で閉鎖となった江府町内の三店舗、昨年は日野町黒坂の一店舗の経営も引き継いだ。

 移動購買車は現在、日野町と江府町を中心に約五十の集落を週二回のペースで回っており、今回の新車両は江府町と伯耆町の一部で運用される。

 初売りとなったこの日は、地区公民館前に止められた移動店舗車に次々と住民が集まり、鮮魚や肉、野菜などを買っていた。

 近くの農業、森田トシエさん(82)は「高齢者二人暮らしで、車が運転できないので移動店舗は助かる。通路が広く品ぞろえも良いので、商品を選んで買えるのが楽しい」と喜んでいた。

 安達社長は「地域の食を守りたいとの使命感があり、小さな商店だが地域に貢献したい。大型店舗ではできないサービスを展開したい」と話していた。
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