彼らの“言葉”をココに再現!
写真家5人が語る、本番前の熱い思い
いよいよ本番を迎えた「PHOTO STAGE II -出逢いの記憶-」。その前日となる7月27日、会場となる植田正治写真美術館では、写真展に先駆け、主役5人による記者発表が行われました。
メディア関係者による内覧会の後を受け、はじまった記者発表。伯耆町長に続き、プロデューサーでもあるグーフィ森さんによる主旨の説明が行われ、そして今回の主役でもある写真家、
大村克巳さん、瀬尾浩司さん、ハービー山口さん、OIDA HIDEOさん、そして福山雅治さんが登場。
植田正治先生とのつながり、「〜出逢いの記憶〜」の意味、大山への思いなどをそれぞれに語ってくれました。
以下、その内容をココに再現。
自らがその場所にいるかのような感覚で彼らの言葉1つ1つを心に受け止め、その思いを胸に写真展へと出かければ、より主役の気持ちと重なり合わせながらの見学が楽しめるはず。ぜひ一語一句、見逃さずご覧ください。
― それでは記者発表を行います。まずは今回の写真展について各写真家の方よりメッセージをいただければと思います ―
大村克巳さん(以下・大): 「今回、植田先生の美術館で、写真仲間と一緒に作品展ができることを非常に光栄に思っています」
瀬尾浩司さん(以下・瀬): 「植田先生のアシスタントでこれまでやってきただけに、ココは私にとってもとても大切な場所。それが今回、写真を撮る側として福山さんはじめ尊敬する先輩方と一緒に写真展ができるとは・・・。非常にうれしいです」
ハービー山口さん(以下・ハ): 「今日はみなさん、私のためにありがとう(会場が笑いに包まれる)」
福山雅治さん(以下・福): 「いやいや、まだ会見は終わってませんから(笑)」
ハ: 「いや〜、福山君と一緒に東京から来ると、どこに行っても小さな騒ぎが起きる。でも、その時の彼の振る舞いに真の人柄のよさを見ることができるんですよ。このような人気者で、素晴らしい人間性を持つ福山さんと長く仕事ができることは私自身とても幸せ。そして、福山さんを通じて昔から憧れていた植田先生とも出会うことができたこと、これも非常に幸せなできごとですね」
OIDA HIDEOさん(以下・O) :「すでに福山君とは15年来の付き合い。今回、初めて美術館を訪れましたが、ココは世界に誇れる素晴らしい場所。ぜひ期間中もたくさんの人に来場してもらいたいですね」
福山雅治さん(以下・福): 「美術館での写真展は今回で4回目。しかし自分には少しいつもと違う感覚があります。これまで自分を撮り続けてくれた場所で、まさか自分が写真家として作品を展示するとは。ん〜、正直なところ今までとは違った「感動」と「緊張」を感じています」
― この場所で写真展をするということへの思い、また今までと違う点は? ―
O: 「私は大山がはじめて。さすが先生が愛した場所だけあって最高に素晴らしいところですね。この場所で出展できることは、ある意味本当に光栄です」
ハ: 「本日はありがとう(笑) 実はこの場所は、植田先生、福山君と3人で暗室作業をした懐かしいところでもあるんです。その地にこうやって戻ってこれるとは・・・。感慨深いですね」
福: 「今までは被写体としての参加だったが、今回はこれだけの素晴らしい写真家の方々とともに作品を展示する立場。しかも尊敬する植田先生の美術館で展示してもらえる訳ですから。非常に恐縮しています。いろんな方々の思いが詰まった写真展だけに、期間中はぜひ多くの方に見てもらいたいですね」
瀬: 「自分の作品が自分の先生の美術館で飾られるとは夢にも思っていなかった。そう言えば、先生が福山さんを撮るとき、よく私も同行させてもらいました。とにかく福山さんと仕事をする先生はとても元気。「写真集を出せば」と言っていたことが懐かしく思い出されます」
大: 「写真を勉強していた頃から植田先生の写真は知っていました。今思えば、植田先生のまねして撮影したこともありましたね。実は20代の頃、私の写真展に先生が来てくれたことがあるんです。今、自分が写真家になって、まして偉大な先生の美術館で自分が作品を出展していることは、とても不思議な気持ちです」
― 福山さんは、ココ大山は久しぶりですか? ―
福: 「大山は前回の「
HOMAGE展」以来。だから2年ぶりですねー。とにかく、ここに来ると景色・空気にとても安らぐんです。海あり、山あり、ボクはこの場所が持つ空気感というものにとても癒されます。「
弓ヶ浜」前に広がる砂浜と海がとてもキレイで、この場所は、以前先生が写真を撮ってくれた思い出の場所でもあるんですよ。この伯耆町という場所には、当然のように
大山があり、近くには
海もある。そんななかにある美術館が私はとても大好きなんです」
― 今回のタイトルは「出逢いの記憶」。大山での、山陰での出逢いの思い出は? ―
O: 「私ははじめてなので、とにかくココ大山で見るものは新鮮なものばかり。機会があれば
大山を題材にして写真を撮ってみたいと思いました。あとは先生の撮影の舞台としてよく使われている鳥取砂丘にも行ってみたい。とにかく、この地は、写真家としては魅せられる景色が非常に多い、そう感じました」
ハ: 「美術館の上にあるレンズ゙室から
大山を見た時、これは遊び心に徹していた先生、そして建築家とのコラボレーションなんだ、と改めて感じました。写真の原点を見ることができる、その部屋をぜひみなさんにも訪れてほしい」
瀬: 「福山さんと初めて会ったのは鳥取砂丘。あれから3回くらい訪れた。これからも砂丘を舞台にどんどん作品を撮ってみたいと思っています」
大: 「とにかく
大山に圧倒されました。ただ私としては、その町、その町の普通の路地や生活にスーッととけ込んで、町の日常を撮影してみたい。最近は見知らぬ人が子供の写真を撮っているだけで変質者と思われてしまうのでなかなか難しいですが(笑)・・・。機会があればその土地の暮らしを表現する温かい作品をぜひ撮影してみたいですね」
福: 「
大山の思い出はとにかくツーリング。春から秋にはよくバイクでこの場所にやってきました。この場所は人が温かい。出逢う人、出逢う人に非常に優しくされた記憶が残っています。景色で言うと、中海に浮かぶ
大根島も大好き。この地をバイクで風を切って走るとホント気持ちいいんです。それから、やっぱり境港の
水木しげるロードもよく覚えていますねー。ある時、通りの小さな床屋で談笑していると、突然2mぐらいのねずみ男が通り過ぎたんですよ。誰って聞くと、床屋のみっちゃんが「あ〜、あれ野々村さん。いつもあ〜やってるんよ」って(笑)。とにかく最初の出逢いがそれで、まさにあの印象が強くて。でも、それだけホッと和ませてくれる、そんな空気がこの町にはあるんだって実感もできました。この町には人と人のつながりがある、そして誰もを自然に受け入れる人柄があるんだと強く感じたんです」
― カメラマンとしてはどういう印象ですか? ―
福: 「海があって、山があって、光によってその姿も変わってくるダイナミックな場所。「撮りたい!」という気持ちにさせてくれますね」
― サブタイトル「出逢いの記憶」に込められた意味は? ―
福: 「まずは95年、先生に出逢い、写真を撮ってもらったこと。その中で写真を撮ったり、先生にその作品を見てもらったり、「そんなに好きなら写真集を出せばいいじゃないか」と言われたこともあった。まさか出すとは思っていなかったことが現実になり、今こうして先生の美術館に写真を飾ることまでになり、写真を通じで考え方、ものの捉え方も教えてもらったことが非常にうれしい。
そして先生だけでなく、今回主役の4人とも出逢い、その後もこうやってずっと仕事をさせてもらっている。ある時、ハービーさんにはライカを教えてもらい、瀬尾さんには彼の自宅で写真のプリントを教えてもらい、とにかく4人には撮る、撮られる関係だけではなく、人としていろいろなことを教えてもらったんです。
自分は写真を通じでいろいろな人と出逢った。今回、それを「記憶」ということで表現し、この展覧会を見た人がまた写真の世界を感じてもらえればと思っています」
大: 「素晴らしい被写体と素晴らしい写真の数々。写真は面白い、楽しいということを再認識してもらえるきっかけになればうれしいですね」
瀬: 「写真することの楽しさ、写真で旅をすることの大切さ、出逢いのことなど膨大な年月の写真の記憶を楽しんで欲しい。1人の被写体を4人のカメラマンが撮るのは非常に見ごたえがあると思います」
ハ: 「今の世の中暗いことばかり。ただこの写真展では、人間ってこんなにも素晴らしい表情をするんだ、こんな遊び心のある人がいるんだということを感じ、明るい気持ち、楽しい心を感じてもらえれば・・・。私は、「写真は人を好きにする」このことを信条に、日々頑張っていますから」
O: 「写真は誰もが入りやすい世界。100人撮ったら100様の作品が撮れる。4人のカメラマンが福山さんを撮ったとき、考え方、捉え方がみんな違うなーと感じました。
それぞれの作品を見て、ぜひみなさんには、「あの時、福山さんはこんなことを思っていたのでは?」などと考えながら、作品を巡ってもらえればまた楽しさが増すんじゃないかと思います」
福: 「とにかくまずは来てほしい。この後、まだまだずっと続けていけるような、よかったねと言ってもらえるようなそんな写真展にしたい。スタッフも夜を徹してがんばってくれた。来てくれた人が「いい物を見たね」と喜んでもらえるような、そんな写真展であればいいし、そうなると信じています」
― みなさん、本日はありがとうございました ―
以後、5人並んでのフォトセッションの後、退席