上淀廃寺

平成3年2月から発掘調査を行い、5月には金堂跡から法隆寺金堂壁画と並ぶ我が国最古の寺院壁画が出土しました。壁画は金堂の壁の内側に描かれていたものと考えられます。自然の絵の具を使って、仏や風景が描かれており、「変相図」と呼ばれる仏教の物語が描かれていたものと考えられます。壁土は現在までに約4,300点が出土しており、そのうち約1,300点の壁画が含まれています。そのほか壁土に混じって仏像の破片約1,900点や、コンテナ約1,800箱の瓦などが出土しました。

また平成4年の調査では、金堂の東側に南北3塔が並ぶという我が国初確認の建物配置が確認され、再び全国の注目を浴びるところとなりました。

ただ、いちばん北側の塔は計画だけで、実際には建っていなかったようです。現在までに金堂・塔・中門跡など寺院の中心的な建物の跡を確認しました。講堂跡は現在までに発見されていませんが、柱礎石の位置などから三重県夏見廃寺と同様、金堂の西前面にあったものと推定されます。
発掘調査の結果、上淀廃寺は白鳳期(約1300年前)に建てられ、平安時代の中頃(約1000年前)に火災で焼失したものと考えられます。
妻木晩田遺跡とともに、国指定史跡です。

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