【レポート】 「皆生・大山 SEA TO SUMMIT 2009」 レビュー

高度差約1700m。
山陰の自然を海から山へと縦走する日本初のスポーツイベント「皆生・大山 SEA TO SUMMIT」がシルバーウィーク期間となる9月19日、20日の2DAYSにて開催されました。

コースは米子の名湯・皆生温泉前の浜から日本海をカヤックにて進み、その後大山登山の玄関口となる博労座へバイク(自転車)にて駆け上がり、最後は登山にて、日本を代表する名峰・大山の頂を目指すというもの。

北海道から鹿児島まで、また海を越えた韓国からも参加者が集い、計240名が海から山へ、緑と青のステージを爽快に駆け上がりました。

このイベントの本来の目的。
それはタイムトライアル的な競技という要素よりも、「自然の循環を体感し、自然の大切さについて考えよう」というスポーツと自然の共存、楽しさを感じることが一番の目的。

2日間にわたるイベントでは、自然について、海・山について、今の自然環境の現実、対策について、そして私たちが暮らし地球、そして山陰の自然について様々なメッセージが届けられています。

2日目の大会本番を前に、初日は開会式の後、環境シンポジウムを開催。作家 C・Wニコル氏の講演のほか、平井伸治 鳥取県知事、海洋ジャーナリスト・内田正洋氏をゲストに招き、大会実行委員長でもあるモンベルグループ代表・辰野勇氏の進行のもと、森、里、海をつなぐ自然の循環と環境について様々な意見交換がなされました。

スタッフにとって印象的だったのが、内田氏の「海の森」について。砂漠化が進む世界の海という悲観すべき現実を紹介しつつ、自らが行なう海の緑化活動、藻場の復活等の話の数々は目からウロコ。
特に山陰の海がなぜ今もなお豊かな状況を保っているのか、そこにはこの地域特有の「たたら製鉄」の歴史が大きく関係している可能性があるとの指摘があり、その考えには周囲のスタッフ、来場者も非常に大きな衝撃を受けました。

こうして初日は終了。
頭と心で自然の尊さを感じた、いよいよ明日は体全体で自然を体感。選手それぞれが静かな闘志を燃やしていたに違いありません。

2日目の朝。
台風の影響により、海は少々荒れ模様。
前日の説明開示にコース短縮は通知していたものの、実施そのものも危うい状況。
「やってほしい」そんな選手の期待を感じながらも、結果大会本部が下した決断は「カヤック中止」という非情なものでした。

しかしながら運営側は、選手たちに配慮。
辰野実行委員長自らが指揮し、カヤックで海へと繰り出しては、選手たちともに自然と触れ合う時間を満喫していました。

そしてバイク。
潮風が心地いい淀江海岸から紅葉間近の大山へ。
緑の中をさっきまでいた海をバックに駆け上がります。
最大で10度をこえる傾斜は選手の力を徐々に奪い、途中立ち止まる選手も続々。ただ沿道の声援に励まされ、また目の前にそびえる大山の北壁を目標に進む様子が何とも印象的でした。

やっとの思いで中継点となる博労座に着いた余韻に浸ることもなく選手は最後の種目へ。
頂を目指しての登山へと向かいます。
スタッフは同行できなかったため山頂の様子をお届けできませんが、この日の大山は快晴。パノラマ絶景のご褒美が待つ頂のゴールでは、きっと多くの笑顔がはじけ、感動の時間が描き出されていたのでしょうね。
選手のみなさん、おつかれさまでした〜〜〜。

最後に・・・。

海から山へ。
自然を感じながらのこうしたスポーツイベントが開催できるのも、この地域ならでは。
この地域に暮らすことの素晴らしさを感じなくてはなりません。

全国から、またお隣り韓国から参加された選手のみなさんはこの自然にふれ、大山の、皆生の環境のよさを実感したことでしょう。
ぜひ多くの人たちにこの素晴らしさを多くの人に伝えていってほしいと心から願っています。

スタッフが感じたこと。
それは自然を愛する人、スポーツマンはホントに心がピュアだということ。

励ましあい、讃えあい、沿道の声援には笑顔で応え、大会スタッフには「おつかれさまです」とエールを送る。

この場所で多くの出逢いがありました。
この場所で多くのつながりがありました。

そういう意味では、
「SEA TO SUMIMIT」ではなく、
「SEE TO SUMMIT」だったんだな〜〜と。

こんな素晴らしい出会いに感謝。
この大会に携われた一人として本当に誇りに思っています。

関係者のみなさんご苦労様でした。
選手のみなさん、また来年、ここ皆生・大山で再会しましょう。


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