8月はじめ、暑さ厳しい夏のとある一日、スタッフの疲れた表情をホッとやわらげてくれる、かわいい珍入者ならぬ、珍入猫が現れました。
生後間もない子猫たちが5匹、この朝発見された捨て猫のようで、人を警戒する様子もなく、我が物顔で「HOMAGE GARDEN」を大行進。また愛らしい表情で、訪れたお客さんに人なつっこく近づいていきます。
とにかく、そのかわいいこと、かわいいこと。
スタッフが冷たいミルクをあげると、すっかりご機嫌のようで、この場所から離れようとしません。
特に子猫たちのお気に入りの場所が、みなさんにも献花をしていただいているHOMAGEの花文字のプランター。中に入っては、悪戯っぽく寝ころんだり、周囲を鬼ごっこのように走り回ったり、もう好き放題無邪気に遊んでいる様子です。
スタッフだけでなく、献花に訪れるお客さんにもかなり甘えているようで、パラソルの下、くつろぐ来場者のひざの上にちょこっと乗っかったり、ダッコされたりと、みなさんにかわいがられ、方々から“かわいい〜〜〜”の声が・・・。
すっかり「HOMAGE GARDEN」の人気者となったようです。
もちろん癒されるのは私たちスタッフも同じ。
ジッと大きな瞳でこちらを見つめられると、何だか自分が飼い主になったみたいで、もうとろけそうな笑顔になってしまいます。
しかし、しかし、別れは突然の如くやってきました。
数日が経過した朝、スタッフが訪れると子猫たちの姿はありません。“さよなら”を言うこともなく、また新たな居場所を求め、旅立っていったのでしょうか?
残念だけど・・・、一緒に過ごせた楽しい時間は、ニャンとも素晴らしい「出会い」でした。
“ありがとね”、そして“元気でね”
ともあれお盆前の静かな週末、かわいい来場者たちに、ホッと癒された数日間。
慌ただしくも、ほのぼのとした、夏のとある風景でした。
あれから、4日。
そろそろ5匹のことも忘れようとしていた矢先、彼らは突然やってきました。
またまたの再会です。
“よぉ、久しぶり〜”、と何事もなかったかのように近づいてくるではありませんか。
しかし、そう喜んでばかりもいられません。それはこちらの施設として猫を飼うことができないからです。
幸いにも猫好きの方の目にとまり2匹の引き取り手は見つかりました。
でも、未だ3匹のご主人様は見つかっていません。
残された時間はそうあるわけでもなし、ただ飼い主が見つかり、彼らの幸せな生活を願うことだけしか私たちにはできません。
彼らを見ていると、いつも思い出すのは、以前展示室で見た植田先生撮影によるかわいい猫の写真。
あんな幸せそうな表情が撮影できるように、私たちはただただ引き取り手が見つかるのを待つばかりなんです。
縁あって、この「HOMAGE展」にやってきた子猫たち。
これももしかして、運命?
植田先生の作品を思い出すたび、私たちはついそういう思いにかられてしまします。
そんなことも知らず、無邪気に走り回る子猫たち。
“ちょっと待っててね。もうすぐ新しいご主人様が見つかるから・・・”
私たちは強くそう思いながら、彼らの将来をただただあんずるばかりです。